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成年後見制度の利用にあたっての注意点5つを解説
判断能力が低下すると、財産の管理が難しくなったり悪徳商法に騙されたりして大きな損失を被るリスクが上がります。また、生きていくために必要な契約なども1人でできなくなり、自立した生活ができなくなるケースもあります。
そんなときに役立つのが「成年後見制度」です。本人の代わりに法律行為をしたり同意権を行使して本人を保護したりすることができます。ただしここで紹介するように注意点もいくつかありますので注意が必要です。
注意点①制度利用のタイミング
成年後見制度には任意後見と法定後見の2種類があります。
任意後見は本人と後見人候補者があらかじめ契約を交わすことを条件としており、後見内容についても本人らがある程度自由に決めることができます。
他方の法定後見は本人や本人以外が裁判所に申し立てをするところから始まり、すでに認知症などにより判断能力が低下している場面での利用が想定されています。
そのためどのタイミングであっても後見人等による支援は受けられるのですが、より本人の希望を反映できる任意後見を始めたいのであれば早めに着手しなければなりません。契約を有効に締結するだけの判断能力が残っていなければ任意後見を始めることはできません。
注意点②無償で支援は受けられない
成年後見制度により支援を受けるにも費用がかかります。
任意後見で家族を後見人として定めた場合など、後見人等の同意を前提に一定の場合には無償で支援を受けることも可能ですが、基本的には有償であると認識しておくべきです。後述するように、指定した家族が希望通りに後見人になれるとは限りませんし、専門家などが選任されたときには報酬の支払いが必要となります。
家族に支援してもらうとしても、責任を持って適正な事務を遂行してもらうためやモチベーションを保つためにも報酬の支払いが有効といえるでしょう。
被後見人の財産状況によって仕事量も変わってくるため報酬の金額も一律ではありませんが、もし外部の専門家などが選任された場合、報酬として毎月数万円ほどの支払いが必要となることが多いです。
さらに、裁判所から後見監督人や保佐監督人などの「監督人」が選任されることもあり、その場合はさらに監督人に対する費用が発生します。単純に倍増するわけではありませんが、この場合月当たり1,2万円ほどは増加することになるでしょう。
注意点③後見人等の選任の仕方
後見人等の候補者を挙げる場合、その選任には慎重になるべきです。本人の財産管理を任せることになりますし、生きるために必要なサービスへの申し込みなどもその方に支援してもらうことになります。
そこで、ただ身近な関係性にあるというだけでなく、「本人の持つ財産について適切に管理するだけの知識・能力があるかどうか」という点にも着目しなければいけません。人として信用ができても適切に行動できなければ十分な支援が受けられません。
また、着服のリスクを少しでも下げるため、「後見人等の経済力」もチェックしましょう。経済力のある方の方が本人の財産に手をつける動機が弱くなりますし、大きな財産を運用する経験も持っていますので比較的安心です。
なお、後見人等として本人が希望した人物でも、必ずその通りに裁判所が選任してくれるとは限りません。裁判所がその人物について調べて適任ではないと評価した場合、別の方が選任されることもありますので注意してください。
注意点④本人のできることに制限がかかる
成年後見制度のうち法定後見では、これを開始することで本人ができることに制限がかかってしまいます。
サービスの利用など、法律行為のすべてを1人で行うことはできなくなり、重要な契約については後見人等の同意を得なければいけなくなります。
※ただし、日用品の購入程度の法律行為であれば単独で行うことが可能。また、結婚や離婚などの身分行為についても変わらず本人ができる。
そしてその制限は原則としてその後一生続きます。成年後見制度の利用を始めた後で自由にその関係性を解消したり制限をなくしたりすることは認められません。今後ずっと後見人等が付いた状態が続くということを踏まえ、慎重に決断するようにしてください。
注意点⑤支援できないことも多い
成年後見制度で判断能力が低下した方の生活を支援することができますが、あらゆる分野のカバーはしていません。同制度で支援の対象としているのは「法律行為」であり、食事の手伝いや病院への付き添い、その他身の回りのお世話を後見人等が直接してくれるわけではないのです。
後見人等はこうした介護などのサービスへの申し込み、契約締結を支援するのであって、上に挙げたような「事実行為」と呼ばれるものに関してはサポートできません。
また、本人の保護が主目的ですので、財産の取り扱いに関しても基本的にはこれを守るための行為を行います。つまり「不動産投資や株式投資のような、財産を増やすための攻めた行為はできない」とも言い換えられます。
柔軟な財産管理・資産運用を求めるのであれば、家族信託など別の制度の利用も視野に入れるべきでしょう。必ずしも1つの制度に絞る必要はありませんので、専門家の意見も参照しつつ、複数の制度を併用していくこともご検討ください。
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