01
生前贈与より相続が有利なケースとは|判断基準
相続税対策における「生前贈与」と「相続」の選択は、税負担を大きく左右するポイントとなります。
一般的に、計画的な生前贈与は相続税の節税に効果的だと言われていますが、状況によっては相続の方が有利になるケースもありますので、よく考えて対策を進めるようにしましょう。
生前贈与と相続の違い
生前贈与と相続のどちらによっても財産が他者へと移転しますが、その性質や税制面では大きな違いがあります。
まず生前贈与は、文字通り生きている間に財産を譲渡する行為です。
贈与者の意思で計画的に行うことができ、受贈者の将来設計に役立てることができます。税制面では、年間110万円までの基礎控除があり、それを超える部分に対して贈与税が課されます。税率に関しては、贈与税が相続税より高く設定されているため、大きな金額を一度に贈与すると税負担が大きくなる傾向があります。
一方、相続は被相続人の死亡によって発生し、その財産が相続人に移転する仕組みです。
相続税の基礎控除額は3,000万円以上と比較的高く設定されており、多くの場合、生前贈与よりも大きな金額を非課税で移転できます。また、相続税の税率は贈与税よりも低く設定されています。
生前贈与より相続を選ぶべきケース
生前贈与は計画的な相続税対策として有効ではあるものの、常に選択すべき手段というわけでもありません。
相続を選んだ方がお得になるケースもありますので、生前贈与よりも相続による財産移転を検討したいシチュエーションを以下で紹介していきます。
遺産が相続税の基礎控除内に収まる
相続税の基礎控除額に遺産の総額が収まるのなら、相続税の課税がありません。そのため節税対策を目的に生前贈与を行う必要はありませんし、むしろ贈与税が課されることにより税負担が大きくなるおそれもあります。
相続税については、控除額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で定まるため、相続人が2人でもいると4,200万円までが非課税で取得できることになります。
他方、贈与税については基本的に受贈者1人あたり年間110万円までの基礎控除額ですので、これを超える額を渡すと贈与税を納付しないといけなくなるのです。
老後の生活資金に余裕がない
生前贈与は計画的に行うことができる反面、贈与した財産は受贈者が自由に処分できる財産となり取り戻すこともできません。
※名義を子どもなどに変えても管理権限の実態が変わっていないのなら名義財産として相続税の課税対象となるため要注意。
そのため、老後の生活資金に不安がある場合は、生前贈与よりも相続を選択する方が賢明でしょう。無理に節税効果を得ようとする必要はありません。
特に、医療費や介護費用の増加が予想される高齢期には、十分な資金を手元に残しておくことが大事です。相続を待って財産の移転をすることで、必要に応じて財産を活用しつつ、最終的に残った財産を相続人に引き継ぐことができます。
配偶者が多くの財産を取得する
配偶者が相続で多くの財産を取得しても、「配偶者控除」が使えるため相続税の負担が発生しないことが多いです。少なくとも法定相続分までは非課税で受け取ることができますし、その割合を超えたとしても最大1億6,000万円まで取得しても非課税にすることが可能です。
さらにその額を超えるとしても、相続であれば土地に関して「小規模宅地等の特例」が使えることもあり、これにより土地の相続税評価額を最大80%も減額することができます。その結果、配偶者等の相続人にかかる税負担を大きく下げることも可能なのです。
生前贈与にも特例がいくつかあり税負担を抑えて贈与できることはありますが、その金額や範囲に制限があり、相続より負担が大きくなりやすいです。特に相続税における配偶者控除は効果が大きいため、生前に送るべき積極的な理由がないのなら相続を待って譲与するのでも問題ないことが多いです。
余命が短いと予想される
被相続人の余命が短いと予想できる場合、生前贈与をしても節税の効果が十分に得られない可能性が高くなってしまいます。
というのも、相続税については「生前贈与加算」と呼ばれる仕組みがあり、相続開始前の贈与財産についても一部相続税を課すことになっているのです。
“2024年より前の贈与については相続開始前3年以内”、“2024年以降の贈与については相続開始前7年以内(ただし4年より前の贈与財産についてはその合計額から100万円を控除した残額を相続財産として加える。)”に行われた贈与が対象です。
「所有権を確実に移転しておきたいから。」という理由があるなら生前贈与も効果的ですが、節税効果を狙っての贈与であればその行為が意味をなさなくなってしまいますので、無理に生前贈与を行う必要もなくなります。
※贈与税の非課税特例を使った場合など、生前贈与加算が適用されないケースもある。
相続で財産を移転するときの注意点
相続による財産移転は、生前贈与と比べて税制上有利になるケースがありますが、いくつか注意しておきたい点があります。
相続の注意点 | 詳細 |
|---|---|
遺言書作成の検討 | 相続人間のトラブル防止と円滑な財産移転のため、遺言書を作成しておくことも検討する。 |
納税資金の確保 | 相続人が現金納付で困ることのないよう、十分な納税資金を準備しておくことが大事。特に不動産や株式などの資産が中心となる場合は納税資金が不足する可能性がある。 |
相続人間の合意形成が必要 | 贈与では贈与者と受贈者の合意さえあれば所有権を移転できるが、相続の場合(遺言書がないとき)、相続人間で話し合い全員の合意がなければ遺産分割ができない。 |
これらの点と、生前贈与を行う必要性、節税の必要性なども考慮しながら今後の対策を考えていきましょう。
02
当団体が提供する基礎知識
Basic Knowledge
-

遺留分侵害額請求の方...
遺留分侵害額請求とは、贈与や遺贈によって、自分に保障されている遺留分を下回る状態になった場合に、その不足分を金銭で請求できる制度です。遺言や生前贈与によって特定の相続人に財産が偏っても、法律で定められた最低限の取り分は守 […]
-

不動産の相続手続きに...
2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続により不動産の所有権を取得した方は、所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければならなくなりました。この記事では不動産の相続手続きにおける必要書類につい […]
-

不動産売買で売却を委...
不動産の売買を行うには原則として本人が行う必要があります。しかし、不動産売買においては売却を委任することができ、委任状を活用することによって代理人に不動産売買を依頼することも可能です。不動産売買において売却を委任する際に […]
-

自分で相続財産を調査...
相続手続の一環で「相続財産の調査」を行う必要があります。この調査に取り掛かるとき、特別な知識や経験を持つ専門家へ依頼するのが一般的です。しかし相続人の方自身で調査をしてはいけないということではありません。むしろ依頼をしな […]
-

成年後見制度の利用に...
判断能力が低下すると、財産の管理が難しくなったり悪徳商法に騙されたりして大きな損失を被るリスクが上がります。また、生きていくために必要な契約なども1人でできなくなり、自立した生活ができなくなるケースもあります。そんなとき […]
-

不要な土地を処分する...
不要な土地を処分しようとする場合、どのような方法で処分することができるのでしょうか。ここでは、不要な土地の処分態様を数種類紹介致します。 土地の処分の方法として、最も代表的なのが売却です。土地を処分しようとする […]
03
よく検索されるキーワード
Search Keyword
04
コンシェルジュメンバー
Concierge Member
コンシェルジュメンバー
- <資格>
- 行政書士・動産鑑定士
- <所属事務所>
- 竹川行政書士事務所
- <自己紹介>
- 遺言書作成サポートをはじめ、終活での身の廻りの処分整理などの相談を承ります。
お気軽にご連絡ください!
- <資格>
- 行政書士・不動産鑑定士
- <所属事務所>
- MRS行政書士事務所
- <自己紹介>
- 宅建業(不動産)と行政書士(法律)のダブルライセンスの強みを生かし税理士と連携しながら相続手続きや相続不動産の処分など総合的に支援しております。
- <資格>
- 税理士
- <所属事務所>
- 増江会計
- <自己紹介>
- 相続相談クオリアの細川です。
税のご相談はお任せください!
丁寧、安心を心がけております。
提携先サポートメンバー
| 団体名 | 相続コンシェルジュ 縁 |
|---|---|
| 代表者 |
<北陸地域> 竹川 祥司(たけがわ しょうじ) <大阪地域> |
| 所在地 |
<北陸地域> 〒921-8044 石川県金沢市米泉町8丁目108番地タナベハイツ1F2 <大阪地域> 〒534-0025 大阪府大阪市都島区片町2-2-40 大発ビル3F Letsパートナーズ |
| TEL |
<北陸地域> 0120-817-523 <大阪地域> |
| 営業時間 | 平日 9:00~17:00 (事前予約で時間外対応可能です) |
| 定休日 | 土・日・祝日 (事前予約で休日も対応可能です) |
